『同一労働同一賃金』で求められる運送会社の対応③
前回に引き続き、同一労働同一賃金の運送会社の対応について解説します。
今回は、正社員と正社員以外に待遇差があることを前提に、
その待遇差が不合理(法律違反)と判断されないための対応について解説します。
まずは基本給です。
【基本給の要素】
・能力または経験 ・業績または成果 ・勤続年数
基本給は、現状に照らし合わせて、上記の3要素をもとに決定していることを
就業規則等に明記すべきです。
正社員と正社員以外の基本給が「仕事内容や責任の程度」
「転勤や職務内容の変更の範囲」により差があることを説明できれば問題ありません。
次に各種手当です。運送会社で問題となりやすいのは各種手当になります。
各種手当については、それぞれの手当の支給目的や趣旨を個別にみていき
正社員と正社員以外との間に支給の差がある場合に
それが不合理(法律違反)であるかを個々に判断することになります。
【各種手当の基本的な考え方】
①特殊作業手当・危険手当等
正社員と同一の危険度または作業環境の業務に従事する正社員以外には
同一の手当を支給しなければならない
②特殊勤務手当・早出勤務手当・年末年始勤務手当等
正社員と同一の勤務形態で業務に就く正社員以外には、同一の手当を支給しなければならない
③精勤手当・皆勤手当、無事故手当等
正社員と業務内容が同一の正社員以外には、同一の手当を支給しなければならない
④食事手当・食事補助手当等
正社員以外にも、正社員と同一の手当を支給しなければならない
⑤通勤手当・出張旅費等
正社員以外にも、正社員と同一の手当を支給しなければならない
特に作業関連の手当、無事故手当や食事手当は支給している運送会社も多いでしょう。
対応に十分に留意して下さい。
住宅手当や住居手当は、厚生労働省のガイドラインに記述がなく
現状、明確な判断はありません。
少なくとも、正社員に転居を伴う転勤があり、正社員以外に転居を伴う転勤がない場合には
正社員以外に手当を支給しなくても可能です。
家族手当や扶養手当も、厚生労働省のガイドラインに記述がなく
判決結果も各裁判により分かれています。
支給趣旨や目的、その他の条件や状況等により判断されます。
トラック運送業特化社労士 名古屋 清隆[北海道(札幌市)を中心に活動]