コラム

有休申請への対応を上手くできていますか

前回、管理職が人事・労務に関する必要な知識
を習得する必要があるとお話ししました。

最近、一番ご相談を受けるのは有休の申請です。
人手不足の中、有休の申請は、労働者の当然の権利とは言え
現場の管理職としては頭の痛い問題です。
労働基準法では
会社は年次有給休暇を従業員の請求する日に与えなければいけないとしており
基本的に上司は、事前の有休の請求を拒否することはできません。

あえて、事前とつけたのは
休んだ後の有休の請求については拒否することはできます。
休んだ後の有休は、実務上はよくあるケースです。
急に病気になった、急に子供を病院に連れていくことになった
親戚に不幸があった(慶弔休暇がない場合)などありますが
法的な制限などはありません。
つまり、会社の任意になります。
休んだ後の有休のトラブルは
「他の人は認められて、どうして私だけ認められないんですか」
というトラブルです。
このトラブルを防ぐには、就業規則でルールを決めるしかありません。
認められるケースを定め、診断書や病院の領収書、香典の領収書を確認するかなどです。
 

事前の有休の請求は拒否できませんが
「事業の正常な運営を妨げる場合」に限って
その請求する日を変更することは可能です。
会社の時季変更権と言います。

「事業の正常な運営を妨げる場合」とは次のようなケースです。
①特別な行事、イベントがあり、特にその日に行わなければならない業務があるとき
②会議・研修・教育訓練があり、特にその日に行わなければならない業務があるとき
③有休を申請した人でなければできない、代わりにできる人が見つけられないとき
④その日に有休を申請する人が重なり、代わりの人を見つけられないとき
⑤シフト制による現場でシフト変更の調整をしてみたが、代わりの人を見つけられないとき
上記のような事情があるとき、有休の請求する日を変更できます。
あくまでも、請求する日の変更であり、拒否はできません。
「こんな人がいないときに、こんな忙しいときに何言っているの?」
という上司のスタンスでは全くダメです。

実務上は、時季変更権があるから変更すると言うのではなく
話し合いにより変更を依頼するというスタンスが上手く解決します。
その日に有休を請求することで
どれだけ現場に支障をきたすのか
他の従業員にどれだけ負担がかかるのか
を理解してもらうことも必要でしょう。

重要なポイントは
有休を申請するときのルールとマナーの理解です。
ルールは、何日前までに申請することになっているのか
口頭だけでよいのか、書面によるのか
誰に申請するのか
マナーは、できるだけ早く、余裕を持って申請してもらうことで
できるだけ現場に負担がかからないようにできること
そうすることで、従業員同士が有休を取得しやすくなること

有休の申請に関しては、 上司が
日ごろからルールとマナーを教えることが大切です。

pagetop