予期し得ない事象に関する客観的な資料について 改善基準告示の改正⑨
自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)が令和6年4月1日から改正されます。厚生労働省による令和4年12月の公表後、Q&Aも発表されていますので、引き続き詳細部分や追加部分について解説していきます。
【Q7】事故・故障・災害等通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には、客観的な記録(チャート紙やデジタコなど)が認められる場合に限り、1日の拘束時間、運転時間、連続運転時間の規制の適用について、その対応に要した時間を除くことができるようになります。
その対応に要した時間について、具体的にどういった時間が該当するか教えてください。
【A7】具体例としては下記になります。
①運転中に乗務している車両が予期せず故障したこと
例えば、運転中に乗務している車両が予期せず故障したことに伴い、修理会社等に連絡して待機する時間、レッカー車等で修理会社等に移動する時間及び修理中の時間が該当します。
②運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したこと
例えば、運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航したことに伴い、フェリーの駐車場で待機する時間が該当します。
③運転中に災害や事故の発生に伴い、道路が封鎖されたこと又は道路が渋滞したこと
例えば、前方を走行する車の衝突事故により発生した渋滞に巻き込まれた時間、地震や河川氾濫に伴う道路の封鎖、道路の渋滞等に巻き込まれた時間が該当します。
④異常気象(警報発表時)に遭遇し、運転中に正常な運行が困難となったこと
例えば、運転前に大雪警報が発表されていたものの、まもなく解除が見込まれていたため、運転を開始したが、運転開始後も大雪警報が解除されず、結果として運転中に正常な運行が困難となった場合には、その対応に要した時間が該当します。
【Q8】Q7の予期し得ない事象について、客観的な記録とは具体的にどのようなものでしょうか?
【A8】「運転日報上の記録」に加え、「予期し得ない事象の発生を特定できる客観的な資料」によって、当該事象が発生した日時等を客観的に確認できることが必要です。 客観的な記録とは、例えば次のような資料が考えられます。①修理会社等が発行する故障車両の修理明細書等 ②フェリー運航会社等のホームページに掲載されたフェリー欠航情報の写し ③公益財団法人日本道路交通情報センター等のホームページに掲載された道路交通情報の写し(渋滞の日時・原因を特定できるもの) ④気象庁のホームページ等に掲載された異常気象等に関する気象情報等の写し
トラック運送業特化社労士 名古屋 清隆[北海道(札幌市)を中心に活動]